ロジカル婚活とは何か — 直感を捨てる話ではない
感情ではなく条件で選ぶこと、という意味に受け取られがちですが、実際はもう少し穏やかな話です。「好き」を疑うのではなく、その「好き」が何から来ているのかを、自分で確かめられるようにすること。
言葉の印象と、中身のずれ
「ロジカル婚活」という言い方を、結婚相談所の界隈で聞くようになりました。感覚だけに頼らず、条件や価値観を言葉にして考えよう、という趣旨です。
ただ、言葉の響きが強い。ロジカル、と聞くと、恋愛を計算でやる、スペックで人を値踏みする、という絵が浮かびます。そう聞こえるのが嫌で敬遠する人は多いと思いますし、その感覚は正しいと思います。人を数字で並べるのは、やってはいけないことです。
それでもこの考え方が出てきたのには、理由があります。
なぜ、いまこの言い方が出てきたのか
昔と比べて、選択肢と情報が増えました。会える人の数が増え、相手について事前に分かることも増えた。これは良いことのはずですが、副作用があります。
- 比べる相手が増えるほど、一人ひとりを見る目が粗くなる
- 情報が増えるほど、「まだ調べていないこと」が気になり続ける
- 選べる状態が続くほど、選ばないことのコストが見えなくなる
つまり、「好き」だけで進むには、いまの環境が複雑になりすぎた。感情が足りないのではなく、感情を働かせる土台のほうが揺れている。ロジカル婚活が言っているのは、たぶんこのことです。
ロジカルにするのは、相手選びではなく自分の物差し
ここがいちばん誤解されるところだと思います。論理的に扱うのは、相手ではありません。自分の側の基準です。
何を大事にしているのか。どれが譲れなくて、どれは無くても成り立つのか。その基準が言葉になっていないと、そのつど目についたものが基準になり、判断が日によって変わります。相手を測る前に、物差しの目盛りを確かめておく、という話です。
やること、三つだけ
- 軸を先に決める — 誰か特定の人を思い浮かべない状態で、譲れないことを書き出す。相手を見てから項目を作ると、相手に合わせて基準が動く
- 同じ物差しで見る — 相手ごとに項目を作り直さない。同じ列に並べる。会った順や直近の印象で順位が入れ替わるのを防ぐ
- 空欄を残さない — 埋まらない項目は、相手の欠点ではなく「まだ聞けていないこと」。そこが次に話す話題になる
これだけです。難しいことは何もありませんし、特別な道具も要りません。紙とペンでもできます。
やらないこと、二つ
そして、やらないと決めておくことのほうが、たぶん大事です。
- 点数をつけて順位を出さない — 合計点が高い人が正解、という形にした瞬間、この作業は人を序列化する装置になります。出したいのは順位ではなく、判断の材料です
- 締切で決断を迫らない — 期限を切ると決めやすくはなりますが、焦って決めたことの結果を引き受けるのは自分です。いつまで考えるかを決めるのと、いつまでに決めろと迫るのは別のことです
この二つを外すと、ロジカル婚活はとたんに冷たいものになります。効率よく相手を絞り込む技術ではありません。
直感の居場所
では直感はどうなるのか。捨てません。むしろ、直感を信じられるようにするための作業だと思っています。
「この人といると楽しい」は、大事な情報です。ただ、それが今日たまたま機嫌が良かったからなのか、価値観の根っこが合っているからなのかは、楽しさの感覚だけでは区別がつきません。区別がつかないから不安になり、不安だから決められない。
言葉にして並べてみるのは、その区別をつけるためです。直感を否定するのではなく、直感に根拠を足す。 根拠が足されて初めて、自分の感覚を信じて決めることができます。
そして、終わらせるために使う
最後に。この考え方は、ずっと続けるものではありません。軸が定まって、空欄が埋まって、この人と話していきたいと思えたら、表は閉じてかまいません。
迷いを長引かせる道具ではなく、迷いを終わらせるための道具です。うまく使えたなら、遠からず要らなくなります。
この比べ方を、
そのまま道具にしました。
- ・比べるボード — 先に自分の軸を決めて、複数のお相手を同じ列で並べる
- ・冷静クエスチョン — 空欄になっている論点を、話せる形の質問にする
- ・締切やカウントダウンで決断を迫る機能は、既定で切ってあります
- ・相性を点数で断定したり、お相手を順位づけしたりはしません
出会いを提供するサービスではありません。すでに出会っているお相手について 考えるための道具です。記録は端末の中に保存されます。
