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複数の人を同時に考えるのは、不誠実ですか?

Aさんとのお見合いの帰り道に、Bさんからメッセージが届く。どちらも悪くない人で、どちらにも失礼な気がして、スマホを伏せてしまう。——その後ろめたさの正体と、比べ方の話。


その罪悪感は、誠実さの裏返し

まず、その後ろめたさを否定するところからは始めません。複数の人と並行して会うことに気が引けるのは、あなたが相手を「選択肢」として扱いたくないからです。人を品定めしているようで嫌だ、という感覚は、むしろ相手に誠実であろうとする気持ちから出てきます。

だからこの記事は「気にしなくていいですよ」では終わりません。気になるのが自然で、その気持ちは持ったままでいい。問題は、別のところにあります。

同時進行そのものは、責められる話ではない

事実の確認だけ、先にしておきます。結婚相談所やお見合いの世界では、交際が「仮交際」と「真剣交際」のような段階に分かれていることが多く、前の段階では複数の人と並行して会うことがふつうに想定されています。次の段階に進むときに一人に絞る、という運び方です。

運用はサービスや相談所によって違います。ご自分が使っている場のルールは、必ずそちらで確認してください。

つまり多くの場合、同時進行は制度に組み込まれた前提です。あなたが特別ずるいことをしているわけではありません。——でも、それを聞いても罪悪感はたぶん消えない。ルールの問題ではないからです。

苦しいのは同時進行ではなく、比べる物差しが無いこと

本当にしんどいのは、比べていること自体ではなく、比べ方が定まらないまま比べさせられていることです。物差しが無いと、判断はその日の印象に持っていかれます。

これは性格の問題ではなく、人の頭の作りです。記憶は新しいものほど鮮明で、気分は直近の出来事に引っ張られます。同じ人を同じ条件で見ているつもりでも、実際には毎回ちがう物差しを当てている。

そして物差しがぶれている自覚があるからこそ、「自分は真面目に向き合えていないのでは」という後ろめたさが湧きます。罪悪感の出どころは、たいていここです。

「ロジカル婚活」は、ときめきを捨てる話ではない

結婚相談所の界隈で「ロジカル婚活」という言い方を聞くようになりました。感覚だけに任せず、条件や価値観を言葉にして考えよう、という趣旨です。

この言葉には、誤解されやすいところがあります。「恋愛を計算でやる」「スペックで人を選ぶ」という響きが先に立つ。そう聞こえるのが嫌で敬遠する人は多いと思います。

けれど、ここで言いたいのはその逆です。直感を、根拠で裏打ちする。ときめきを削るのではなく、そのときめきが本物かどうかを自分で確かめられるようにする、という話です。

「この人といると楽しい」は、大事な情報です。捨てる必要はまったくありません。ただ、それが「今日たまたま機嫌が良かったから」なのか「価値観の根っこが合っているから」なのかは、楽しさの感覚だけでは区別がつきません。区別をつける道具として、言葉にして並べてみる。それだけのことです。

先に自分の軸を決めてから、相手を当てはめる

順番が大事です。相手を見てから項目を考えると、その人に合わせて物差しのほうが動きます。

「Aさんは料理が上手だから、家事の分担は重要な項目だ」と後づけで思い、翌週Bさんに会うと「やっぱり収入の安定がいちばん大事かも」と思う。これは比較ではなく、そのつど納得する理由を探しているだけです。

だから、誰か特定の人を思い浮かべない状態で、先に自分の軸を書き出します。

三つ目が曲者で、書き出すとまず混ざっています。年収、身長、学歴。それが本当に自分の願いなのか、親や友人や世の中の声なのか。一度分けておくだけで、後の判断がずいぶん楽になります。

軸が決まったら、そこに相手を当てはめます。相手ごとに項目を作り直さない。同じ表に、同じ列で並べる。それが「同じ物差しで比べる」ということです。

埋まらない欄こそが、いちばんの収穫

こうして表を作ると、必ず空欄ができます。お金のこと、親との距離のこと、子どもをどう考えているか、仕事を続けるのか。三回会っていても、まだ一度も話していない。埋まらない欄は、そういう場所に集中します。

ここが、この作業のいちばんの価値だと思っています。空欄は、相手の欠点ではありません。まだ聞けていないという、あなたの側の情報です。そして後から効いてくるのは多くの場合、ときめきの最中には話題にしにくかった、まさにその欄です。

だから、比べた結果として順位が出ることよりも、「次に会ったとき、この話をしてみよう」という具体的な問いが手元に残ることのほうが、ずっと役に立ちます。

比べるのは、順位をつけるためではなく、何を聞けていないかを知るため。そう考えると、同時に何人かを見ていることの後ろめたさは、少し形を変えるはずです。全員について、まだわからないことがある。それだけのことです。

決まったら、この考え方は要らなくなる

最後にひとつ。こういう整理は、ずっと続けるものではありません。軸が定まって、空欄が埋まって、「この人と話していきたい」と思えたら、表は閉じてかまいません。

というより、閉じるために作ります。迷いを長引かせる道具ではなく、迷いを終わらせるための道具です。決まった後も比べ続けているなら、それは道具の使いすぎです。

この比べ方を、
そのまま道具にしました。

  • ・比べるボード — 先に自分の軸を決めて、複数のお相手を同じ列で並べる
  • ・冷静クエスチョン — 空欄になっている論点を、話せる形の質問にする
  • ・締切やカウントダウンで決断を迫る機能は、既定で切ってあります
  • ・相性を点数で断定したり、お相手を順位づけしたりはしません

出会いを提供するサービスではありません。すでに出会っているお相手について 考えるための道具です。記録は端末の中に保存されます。

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